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「ベアリング」の世界

 基本的な構造は至って簡単ですが、その奥は深く、実は“すまし顔の変なやつ”です。

ベアリング

 ここで、ダイベア(株)の宣伝を少々。ベアリングの主な構造は、外輪(アウターレース)と内輪(インナーレース)の間に転動体(ボールやコロ)がはさまっていて、くるくると回転するものです。一般的には転動体どうしの間隔を一定に保つために、保持器(リテーナー)が入っていて、すべりを良くするためにグリースも入っています。JISでは、6300シリーズ、6200シリーズが一般的で、6000シリーズ、6900シリーズと薄肉タイプとなり、6800シリーズは超薄肉タイプとなっています。弊社は、この中でも超薄肉タイプを得意とするベアリングメーカーです。

 話を元へ戻します。

 ベアリング(軸受)は、自動車や機械の回転する部分に必ず入っている部品で、「産業の米」とも呼ばれています。特に、省エネが重要視される現代では、回転におけるエネルギーロスを少なくすべく、スムーズに回るベアリングが注目されています。

 ベアリングの世界は、ミクロンオーダーの世界です。ミクロンとは、1,000分の1ミリ。「余程正確な機械で、緻密に加工しているのだろう」と思いきや、実は結構職人技です。「見てみ。削ってる時の火花の出方がええやろ!」はまだしも、「こいつ、顔がええやろ!」は意味不明です。しかし、少し慣れてくると、「顔がいい」製品がなんとなく分かるようになり、嬉しかったりします。もっとも、最近の加工機はコンピュータ制御が進化し、職人技の出番も少なくなりましたが。

 ベアリングを製造する上で、唯一「加工」ではないのが「熱処理」です。主に軸受鋼という特殊鋼を使うベアリングですが、この「熱処理」を行うことで製品を硬くし、寿命を飛躍的に延ばしています。しかし「処理」」である以上、「加工」ではない勝手な動きをします。ベアリング製造の場合、基本的に外輪と内輪が対象となりますが、「熱処理」を行うことで、大きくなったり、小さくなったり、曲がったり、反ったりします。時には0.1ミリ単位で曲がったりするので大変です。

 私の本業は、前工程図の作図です。弊社に入荷してくる熱処理後の製品が、高精度に削るための適切な削り代が付いた状態で入ってくるように、最適な寸法を検討し、図面を書きます。削り代が少ないと、早く削ることができますが、歪の大きい製品が入ってくると、削り代がなくなってダメ。削り代が多いと、歪の大きな製品には対応できますが、削るのに時間がかかってダメ。より安全で、より生産性の高い寸法を決定するのは、緻密な計算の上に立った「経験」です。これも、職人技と言えるのでしょう。

 後輩から「なんでこの製品の前工程図は、こんな寸法になってるんですか?」と聞かれれば、「まあいろいろあってな!」と答えます。ちょっと違うでしょうか?

 委員長になってもうすぐ8年。私の“はんこ”のある図面は、まだあるかな~

2014年2月14日
大阪南地域協議会 副議長(ダイベア労働組合 中央執行委員長)牟田 和広