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(2022年9月)

連合「2022平和行動 in 根室」―参加報告―

大阪南地域協議会 幹事(泉南地区教職員組合 執行委員長)荒木 寿樹

写真①

 北方領土の学習会、アイヌ民族博物館訪問、平和ノサップ集会参加と三泊四日盛りだくさんの内容だった。伊丹から羽田で乗り換え、中標津空港の降り立った。意外の暑さに服装を失敗したのではないかと不安になったが、今日が特別暑いらしく「明日はまた20℃前後になりますよ」というバスガイドさんの言葉に安心した。(といってもその日も26℃程度です)

 到着してさっそく語り部による学習会をおこなった。その方は母が国後島から強制送還され今中標津で住んでおられるという事だった。資料を追い、ネットで知らない言葉の意味をさぐりながらの聞き取りで自分の知識不足を痛感した。と同時に大阪や自分の暮らしてきた場所では、あまり報道されず、自分自身も関心を持ってこなかったのだろうと猛省した。その方の言葉で「共住」という言葉がたびたび出てきた。初めて触れる言葉だった。そんな考え方もあるんだと驚いた。今実際ロシアの方が住んでいてそこを故郷とする子どもたちもいる。お互いの思いに寄り添い、より良い解決方法を模索する様子をしり、解決の方法は一つではないと感じることができた。

写真②「宿舎から見た屈斜路湖」

宿舎から見た屈斜路湖

 僕の中でもう一つ心に残った言葉があった。「母は強制送還され、根室に住んだ時、島民というのを隠して生きていた」という話だった。自分のルーツを語れなかったらしい。戦後どの地域も苦しい生活をしている中、マイノリティを排除する傾向があったのだろう。僕の身近にも様々な人権課題がある中が、それらの課題は自分を隠したり、自分の事を語れなかったりという事に表れることが多い。いつの時代、どこの場所でも同じことがあるのだと人間の弱い部分を思い知らされた。

写真③

 2日目は、アイヌ民族博物館の見学とジャーナリストの石川一洋さんの「プーチンの衝撃と北方領土問題」という講話と毎日新聞記者の本間浩昭さんの「北方領土の自然と領土問題」という講話を聞いた。ロシア政府が5日に北方領土への「ビザなし交流」と「自由訪問」を中止すると発表した数日後だっただけに、ロシア軍のウクライナ侵攻がここ根室に大きな影響を受けていることを実感した。

写真④「根室で見た中秋の名月」

根室で見た中秋の名月

 そもそも平和な状況でなければ交渉なんてできない。墓参や交流などをおこない粘り強く平和的解決方法を模索してこられたみなさんや島民のことを考えるとやるせない気持ちになった。

 また北方四島が自然豊かで、歴史を紐解いて見てもソ連(ロシア)や欧米、日本から搾取の対象になっていたことがわかった。知床半島が世界自然文化遺産になるんだから当然北方四島も同じぐらい素晴らしい所なんだろうと想像できた。ただ、数年ほったらかしになっていた島だったのが、ロシアによるインフラ整備のより開発が進んでいるという。便利になることはいいことだがすばらしい自然がなくなるのではないかと、開発に不安を感じているという。現在ロシアとの関係は良いとは言えないが、将来の返還に向けて資源の確保など、交渉が始まった時の準備が必要だと感じた。

写真⑤

 3日目は、2022平和ノサップ集会に参加した。北方四島が見える岬に立ち、望遠鏡で北方四島を見ると、ロシアの警備塔などを眺めることができる。普段国境というものを身近に感じることがない僕にとっては、何とも言えない緊張感を感じた。周りには、条件を満たし漁を許された赤い印を付けた日本の船がコンブ漁を行っていたが、国境周辺で漁業をする方はこんな緊張感の中、そして国際情勢も心配されながら仕事をしているんだと思った。集会で元島民の方が話をされた。島に住んでいた子どものころ、ロシアの子と一緒に楽しく遊んだ思い出の話が印象に残っている。決してロシアを恨んでいるという話ではなかった。ただ、故郷に帰りたいというまっすぐな気持ちに心を打たれ、それが叶わないことへの憤りや虚しさを感じた。

写真⑥

 集会の後「北方四島交流センターニホロ」の見学をおこなった。北海道が日本とロシアの架け橋にという願いがこめられ、日本のニ・北海道のホ・ロシアのロをとってニホロという名前がついている。そこには北方四島の歴史をはじめ、ロシアの文化などもたくさん紹介されていた。大阪の小中学校ではよく一番近い国ということで韓国・朝鮮の学習をすることが多いがここでは一番近い国といったらロシアなのだろう。韓国・朝鮮の学習をする場合も子どもたちがどんな情報に触れているかを配慮しないといけないが、ロシアの場合も難しい場面があるだろうなと感じた。

写真⑦

 4日目は空路を乗り継ぎ帰阪した。北海道が特段寒いとは感じていなかったが、帰ってきたらやはり蒸し暑い。次の日のクーラーのない理科室での授業は異常な汗をかき、倒れそうだった。

 僕は今まで領土問題はあまり積極的に学習してこなかった。それは領土問題になると「北方四島は日本固有の領土だ!返せ!」等と少し過激になることが多いからだ。今回この平和行動に参加してやはり「固有の領土だから返せ」の主張の違和感を改めて感じる。琉球王国も同じだが、アイヌ民族もそこに住んでいて、北方領土にももちろん住んでいて、それぞれの文化を築いていた。幕府からの開発という名の同化政策のなかで、土地を奪われ、搾取されてきた歴史がある。このようなことを思うと固有の領土ってどこまでなのか?と感じる。しかし、北方四島の返還の運動は共住や交流など多岐にわたり、元島民や今北方四島に住むロシアの方の思いにも即した活動が行われていることがわかった。そのことの重要性や大切さを改めて感じることができた。少なくとも元島民の方々にはまだ戦後が訪れていないんだと思う。いち早く北方四島に平和が訪れることを願う。またぜひこの地を訪れ、学びを深めたいと思う。

 

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