大阪南地域協議会 副議長(JAMセイサ労組) 津田 武彦
今回、2016年9月9日(金)〜12日(月)にかけて、連合「平和行動in根室」に参加させていただきました。
出発日の9月9日、温帯低気圧に変化した台風13号の影響で、羽田〜中標津間の路線が、欠航か到着地変更かの瀬戸際にありました。機体が大きく揺れる恐怖に耐えながらも中標津に到着しましたが、今年は東に偏った太平洋高気圧の影響で、台風が異例の進路を取っており、東北地方から北海道にかけて甚大なる被害をもたらしています。
翌9月10日は北方四島学習会が開催され、第一部では2014年2月公開のアニメ映画「ジョバンニの島」が上映されました。終戦と同時にソ連軍に北方四島を占領され、激変する島民の暮らしを、ある家族の視点で色丹島を舞台に描いた作品です。
この作品は子供向けに柔らかい内容にしてあるそうで、強烈な戦争描写はありませんが、中心人物の小さい弟が亡くなるなど、涙を誘う内容となっていました。しかし、体験者の話では実際には想像を絶する過酷なものであったとのことでした。

石川氏はロシア極東ウラジオストクで行われた日ロ首脳会談に同行取材されており、そのときの内容と今後の見通しなどについて話を聞くことができました。概要は、領土交渉というのは、片方ではなく双方にリスクを取る意思があるのかが重要であることから、戦後70年以上を経過してもなお、ロシアとは平和条約の締結がされていないということです。
これまでも「領土と経済は取引しない」、「第二次大戦の結果は動かさない」と頑なな態度をとっているプーチン大統領に対し、安倍首相は平和条約締結の際、島民の地位や権利、経済活動などについて、これまでの平行線の議論から、一歩踏み込んだ具体的議論を行うことを呼びかけたようです。

そして、日本との関係の全面的な発展が、ロシアの安全保障を強化するとプーチン大統領が感じたとき、領土問題は動き出すのではないかと締めくくられました。12月のプーチン大統領来日で、領土問題が進展することを望まずにはいられませんでした。
3日目、9月11日は平和ノサップ集会です。連合は1989年の結成以来、北方領土返還運動を沖縄・広島・長崎とともに4つの平和運動と位置づけ取り組んできました。今回の集会では、来賓から岸田外務大臣と鶴保内閣府特命担当大臣のメッセージ紹介、高橋はるみ氏(北海道知事)、長谷川俊輔氏(根室市長)、児玉泰子氏(北方領土返還要求運動連絡協議会事務局長)が挨拶されたのち、元島民の鈴木咲子氏の訴え、同じ領土問題である竹島問題を抱える連合島根より原田圭介事務局長から特別報告と、連合長崎から森光一会長の平和メッセージが発表され、最後に集会アピールが採択され終了しました。
9月12日は帰路への移動となりましたが、今回の平和行動で、北方領土問題の根深さを再認識しました。戦争から70年以上経過し、元島民の方々も平均年齢80歳を超えたそうです。従って、仮に北方領土が返還されても、その年齢で移住ができるのか、2世・3世の皆さんは本土で生まれ育ってきたので故郷という意識は薄い、中国資本の工場や現在のロシア住民の問題など、返還後の課題も山積していると思います。返還要求だけでなく、その後の課題克服も考えていかなければならないと痛感しました。