連合大阪第15次訪韓団の一員として、2016年5月13日(金)~17日(火)にかけて、釜山にある「韓国労総釜山地域本部」を訪問しそれぞれの経済・雇用状況ならびにこれからの施策等について意見交換、情報共有を行いました。
韓国最大のナショナルセンターである「韓国労働組合総連盟」は、加盟組合員数は約82万人、構成産別は金属労連、化学労連など、26の会員組合となっています。地域組織は、ソウル、釜山など16の市や道にある本部と、54カ所の地域支部によって構成されていて、隔年で相互派遣をおこなっている釜山地域本部で歓迎を受けました。
意見交換の場において印象に残ったのは、日本と同様に非正規などの格差が拡大する傾向にあり、さらに正規においてもサムスン、LGグループ、SKグループなど財閥と言われている企業と公務員労働者は高い給与水準になっていますが、中小企業で働く労働者の給与は低く、その差は約2倍以上になっているようです。そのような中で、非正規における労働環境(2016年最賃600円)は、あらゆる面において厳しい状況にあります。とりもなおさず、3段階構造の格差解消に向け、労働組合としての政策提言を含め取り組みを強化している説明を受けたところです。現在韓国では、子どもの教育に対して、一流大学志向はご存じのとおり異常なまでの教育文化でありますが、そのような社会背景が一因となっているのではないでしょうか。
一方では、就職をして一年未満で退職する率(離職率)が35.5%という高い数値だと説明を受けました。どうして学業と就職とのギャップがあるのか分かりませんが、それがまた多くの非正規を生み出しているようです。親としては、塾にかかる多くの費用を費やして、大学を卒業させ、一流企業に就職させても一年で退職されてしまったら、いたたまれない気持ちであろうと推測します。
日本同様、社会環境に大きな歪が生じており、両国が進めてきた市場原理主義がいかに大きな格差を生み出し、1%の富のための施策であると言わざるを得ません。改めて、連合が推し進める「働くものを軸とする安心社会の実現」への施策を強く感じました。今後も、労働組合として国への要請ならびに政策実現へのため施策を、情報を共有しながら労働者のための運動を展開していかなければなりません。
また、様々なところも視察させていただきました。その中でも、私自身30年振りに訪れた、慶州の「仏国寺」は、30年前とは人々の様子や建物、道路など何もかも近代化され、姿を変えてしまっており、前回に訪れた際の印象が全く持てなかったのも事実です。1995年にユネスコ世界文化遺産に登録され、観光スポットになっているようです。たまたまその日がお釈迦様の誕生日(韓国では旧暦)で、お祭りモード満載であり活気ある賑わいを感じられました。
今回、貴重な意見交換や経験をさせていただき、とりわけ「釜山地域本部」事務處長成永植(ソン ヨンシク)さまはじめ役員の方々、そして5日間随行していただいた教育産安本部長張 圭兌(チャン ギュテ)さまに深く感謝を申し上げます。私自身、労働組合運動の原点回帰させていただき、改めて、これからも運動に精励して所存です。