水都地区協議会 北川 雅之
私は、連合の取り組む平和行動のひとつである「2019平和ノサップ集会」及び、現地での学習会を通じて、大阪では深く考えることもあまり無かったこの問題を、現地の人々の生の声を通して感じる事ができ、この取り組みに対するイメージが大きく変わった。
これまで「北方領土」の問題については、大阪においては大阪市中央公会堂で開催される「北方領土の日祈念大阪府民大会」に数回参加する認識レベルで、遥か彼方である「北方領土」の課題と片付け、日常的に考える、まして元島民の機微を察する事はなかった。
活動初日には、中標津町の文化会館「しるべっと」で、元島民の子供である宮脇田鶴子さんを語り部にスライドを交えながらの事前学習会に参加した。宮脇さんは、当時の島の自然豊かな暮らしぶりや、終戦直後に突然ロシア人が島を占領した時の状況そして、サハリン経由で北海道に引き上げ、厳しい暮らしを強いられたことなどを切々と語られ、北方領土問題を元島民だけの問題としないで、早期に解決してほしいと訴えられた。
2日目に北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」で行われた「北方四島学習会」では、先ずは、1945年当時の北方四島のひとつである色丹島に暮らす、父・祖父と二人の兄弟が終戦を契機に平和な暮らしから激動の人生の歩みを描いた映画「ジョバンニの島」を見た後、パネルディスカッション「北方領土問題の現状と日ロ共同経済活動を前進させるために」が行われた。パネリストの一人であるNHK解説委員である石川一洋さんは、「56年日ソ共同宣言」が、領土問題を除けば典型的な平和条約であると解説、解決の為に、共同経済活動を通じ、四島がつなぎ目の島として「地元の利益・島のロシア人とのWin Winの関係」「人の交流・物流で恒久的制度設計」「環境保護との両立」などの視点で方策を考える必要があるとされた。
3日目の「2019平和ノサップ集会」が開催された納沙布岬・望郷の岬公園では、あいにくの曇天で、島影を見ることは出来なかったが、元島民に寄り添う気持ちを持って集会に参加をした。集会では、元島民の訴えや、根室市長などの多くの来賓の挨拶の後、日本固有の領土である択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島の北方四島が占領され74年が経過している今、日ロ共同経済活動を着実に進め、両国の発展を通じた領土問題の解決を強く求め、ロシアとの間に平和条約を締結し、友好関係を構築することが出来るように、連合も運動を粘り強く推し進めるとしたアピールを採択された。
全ての行動に参加をして、今思うことは、現地の方が如何にして平和的にこの領土問題を解決しようとしているのか、これまでの墓参にはじまり、北方四島のビザなし交流による相互理解の推進の取り組みなど地元住民の努力を知り、元島民だけの問題として片付けてはならないとの思いを強く持ち、元島民の高齢化の現状を考えれば、この運動の後継者の問題など、みんなの関心を高める必要があるとの考えに至った。