大阪市地域協議会 徳野 尚
1日目
8月8日(月) ANA781便(伊丹 8:50発⇒長崎 10:05着)
2日目
8月9日(火) ・10:30〜 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典(長崎市平和公園)※長崎原爆資料館会場よりパブリックビューイングにて参加
3日目
8月10日(水) ・軍艦島ツアー〔9:30〜11:30〕
ANA788便(長崎 17:45発⇒伊丹 19:05着※延着)
水都地区協議会:横山副議長、連合大阪事務局として市内協:徳野事務局長
連日の猛暑が続くなか、8月8日から10日までの日程で行われた「連合2022平和行動in長崎」に連合大阪の一員として参加しました。1945年の被爆の日から77年目を迎えた長崎の街で体験し感じた事を、拙文ではありますが以下の通りまとめました。
今回の行動で、まず印象に残ったのは「長崎を最後の(戦争)被爆地に」という言葉でした。今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻では、プーチン大統領が核兵器の使用を示唆しました。この事は、核兵器がある限りそれが使われてしまうというリスクがあるという事を如実に表しているのではないでしょうか。今現在も冷戦時のキューバ危機にも匹敵する危機的な状況が続いており、まさに「今そこにある危機」が続いているのです。
改めてそうした事を考えたときに、連日の報道やSNSなどでウクライナの戦況が伝えられていますが、時間がたつにつれ感覚が鈍り、どこか他人事のように感じている自分に気が付いたのです。ウクライナを含む紛争地では今日も多くの命と日常が奪われています。核兵器は二度と使われてはならない。「長崎を最後の被爆地に」という言葉を決して忘れてはならないと強く思いました。
そして、何よりも感銘を受けたのは、平和祈念式典での田上長崎市長の平和宣言です。市長は核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現を求め、力強いメッセージを全世界に訴えました。印象深い部分を紹介したいと思います。
「(核兵器は)持っていても使われることはないだろうというのは、幻想であり期待に過ぎません。」「核兵器をなくすことが、地球と人類の未来を守るための唯一の現実的な道だということを、今こそ私たちは認識しなければなりません。」
「広島で、長崎で原子爆弾が使われたのも、戦争があったからでした。戦争はいつも私たち市民社会に暮らす人間を苦しめます。だからこそ、私たち自らが『戦争はだめだ』と声を上げることが大事です。」
「私たちの市民社会は、戦争の温床にも、平和の礎にもなり得ます。不信感を広め、恐怖心をあおり、暴力で解決しようとする『戦争の文化』ではなく、信頼を広め、他者を尊重し、話し合いで解決しようとする『平和の文化』を市民社会の中にたゆむことなく根づかせていきましょう。」
このスピーチに込められた思いを、どう受け止められますか。「核兵器のない社会」こそが未来に向けた現実的な選択肢であり、「戦争はだめだ」という声を上げる事の大切さ。そして何より「平和の文化」を求めて歩みを止めない事。私は、これらを当たり前の価値観として再確認したいと思います。
また、田上市長が、「戦争と平和」の二つの文化に触れられたとき、自身が思い浮かべずにいられなかったのは、対立と分断をあおり、市井の人々の意見に耳を貸そうとせず、自らの権限と権力の維持・拡大に奔走する人々に対して、私たち労働組合が、信頼と尊重、話し合いと民主的な手続きによって活動している事との対比であり、だからこそ、そうした勢力としっかりと対峙しなくてはならないという事でした。
さらに、私たちは、連合運動を通じ「はたらくことを軸とする安心社会」を目指しています。私たちがめざす社会は、すべての人々が安全で安心して暮らせる社会です。そのためには安定した雇用と、ディーセント・ワークの実現、そして何よりも「平和」であることがとても大切です。
行動の最終日に見学を行った「端島(通称:軍艦島)」(残念ながら波高が高く上陸しての見学が出来ませんでしたが)は、炭鉱の島として最盛期には5,000人以上の人々が暮らし、当時の東京都の9倍もの人口密度だったと言われています。
しかし、当時最先端であった島も1974年に無人島になってから、老朽化に伴い多くの建物や施設が倒壊し、世界遺産となった現在も崩落は止む事はありません。
人の営みがなければ、社会も文化も維持し続けることは出来ません。軍艦島はその事を私たちに訴えかけているのではないでしょうか。
「平和」を求める私たちの取り組みも、同じように歩みを止めることなく進めなくてはなりません。今年で第25代となる高校生平和大使は、「微力だけど無力じゃない」をスローガンに、コロナ禍のなかであっても様々な活動を行っておられます。高校生たちに恥じないよう、この言葉を肝に銘じつつ、私たち一人ひとりの営みとして、平和を求めた取り組みを進めていきたいと思います。
以 上