2025年6月5日(木)から6日(金)にかけて、「第28回連合政令指定都市地域協議会連絡会議」が大阪市で開催されました。この会議は、全国で20の政令指定都市にある連合地域協議会が年に一度集まり、各地の活動や課題を共有し意見交換を行う場となっています。
今回の開催は、大阪・関西万博の会期中ということもあり、全国から約160名の参加者が大阪に集い、大阪市地域協議会は藤本議長をはじめとする、のべ36名のスタッフ体制でホスト役を務めました。会議会場には万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も登場し、参加者との記念撮影で場を和ませました。
開会式では、藤本さつき議長の歓迎挨拶に続き、来賓の連合大阪の田中宏和会長、大阪市の西山忠邦副市長からもご挨拶をいただきました。
今年の会議テーマは「多様性推進と人権尊重の取り組みについて」、SNSを通じた誹謗中傷や個人情報の拡散、また現実社会でも依然として残る差別やハラスメントなど、人権を取り巻くさまざまな課題が深刻化する中、改めて一人ひとりが人権について考える契機として設定されました。
講演①では、京都大学大学院法学研究科の曽我部真裕教授が登壇。「インターネット上の人権〜大阪市における多様性推進・人権尊重の取り組み〜」と題し、大阪市が2016年に全国で初めて施行した「ヘイトスピーチ対処条例」について紹介。この条例は、特定の民族や国籍を標的にした差別的言動に対し、自治体として毅然とした対応を打ち出した画期的なものであり、全国から注目されました。曽我部教授は同条例の審査会会長も務められた経験から、「表現の自由」と「人権の保護」という二つの価値のバランスを、法学の視点から分かりやすく解説していただきました。
その後、神戸市とさいたま市の地域協議会による地域報告が行われました。神戸市からは、震災から30年を迎える節目の都市としての現状報告や、話題となった兵庫県知事選挙、県議会との関係性などが共有されました。続いて来年の開催地となるさいたま市地域協議会からは、市の特徴や取り組みについて紹介があり、次回開催への期待が高まりました。
講演②では、衆議院議員の尾辻かな子氏(立憲民主党・大阪10区)が「多様な人権の尊重のためのジェンダー平等社会の実現に向けて」と題して講演。ご自身が性的マイノリティの当事者である事やこれまでの経験を交えながら、LGBTQの声を政策に届ける意義や、誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の必要性を語りました。特に、「人権」が日本では道徳的なものとして扱われがちである一方、国際的には国家が保障すべき権利であるという違いを指摘し、少数者の権利が法的に保障されることの重要性を訴えました。
夕刻からは、全体懇親会が開かれ、一般社団法人「和太鼓 絆」による迫力ある演奏で幕を開けました。演奏後には、太鼓を通じた人権啓発活動についての紹介もあり、参加者の関心を集めました。乾杯の音頭は藤本議長が取り、各地域協議会間の交流が深まりました。会の終盤では、参加した各地協の紹介が行われ、次回開催地であるさいたま市の代表者からの挨拶で締めくくられました。
翌6日(金)は、希望者による市内視察として、「EXPO2025 大阪・関西万博」関連施設と、「新今宮スタディツアー」の2コースに分かれて現地を訪問。蒸し暑い天候ではありましたが、参加者からは「今の大阪を体感できた」との声も多く、充実した視察となりました。
今回の会議の開催にあたり、ご協力いただいた全国の政令指定都市地域協議会の皆さま、また運営を支えていただいた大阪市地域協議会の役員・スタッフの皆さまに心より感謝申し上げます。次回「第29回連絡会議」は、2026年6月にさいたま市での開催が予定されています。今後とも、全国の政令市地域協議会との連携を一層深め、連合の地域運動を力強く推進してまいります。